こんにちは、サヲトメです。
鹿児島県伊佐市に移住して2か月がたちました。
まだ地方移住を語るには経験が浅いのですが、漠然と感じている事があります。
語彙力喪失モードでお届けしますが、なんていうか、とんでもなく季節がうつろってる感じがするんですよね。
空が広い分、日に日に日が長くなっていくのが分かりやすかったり。
田んぼが焼かれて黒くなったり、畑一面のねぎが1日で引っこ抜かれてたり。
「三寒四温」を文字通り体験したりして、ゆっくりと春の準備をする自然の声が聴こえてくるようなんです。
「季節ごとの風習」に触れる機会が多いことも、そう感じる一つの理由なんじゃないかな、と思っています。

今回ご紹介する「めのもち」も、そんな季節を感じる風習のひとつ。
小正月(1月15日)に、榎(エノキ)や柳(ヤナギ)の切り枝にお餅を飾り、五穀豊穣・家内安全を祈るのだそうです。お餅をずっしりとまとってたわむ枝は、たわわに実った稲を模していると言われています。
「餅花」や「花餅」、「繭玉」「ほだれふき」など地域によって呼び方がさまざまで、飾るお餅も丸餅か・切り餅をかの違いもあるんだそうです。
市内のとある小学校では、田植えから収穫・めのもちづくりまでを通して体験しているんですって、何それステキ!
…ということで、めのもちづくり体験にちゃっかりお邪魔してきました。
ふわふわ癒し系なお餅ですが、作るのはかなり大変。お餅は時間の経過とともにどんどん硬くなってしまうので、いかにスピーディに仕上げるかが肝なのです!
- 餅つき機や、臼と杵でおもちをつく(色を付ける場合は色粉や食紅を入れる)
- アツアツの餅を取り出し、色をつける
- 打ち粉をふって切り分ける(爆速)
- 丸餅の場合は丸める(爆速)
- おもちが柔らかいうちに、枝に等間隔で飾っていく(爆速)
爆走兄弟レッツ&ゴーもビックリな速さで、これらの工程をせねばなりませんが、餅つきレベル0の私。男性ブランコよろしくアワアワするしかありません。(M-1グランプリ2022参照)


見事な連携と無駄のない動きであっという間に出来上がるめのもちたち。

地域の方に「お祝い事の時にはもちをつくから、餅つき機を持っている家庭も多いよ」と教えていただきました。米どころ・伊佐では餅つきが凄く身近なものなんだなぁ!

こうして出来上がったお餅を、柔らかいうちに木の枝にあしらっていきます。
プスッと枝に通すのですが、枝の中腹あたりはそれが難しい。そんなときはお餅をムイっとむいて、粉のついていないねっちりした面を糊がわりにして巻き付けていきます。
適度に間隔をあけ、色のバランスを考えながらお餅をあしらっていくのですが、小学生たちは感性の赴くままに自分の作品を作り上げていました!

こちらはなんと、めのもちで作ったお寿司。緑がワサビ、黄色はお皿…芸が細かい!
このお寿司の写真は、昨年12月に着任した地域おこし協力隊の坂元さんが撮影したもの。伊佐市のほっこりした日常風景を沢山撮られてるので、ぜひ伊佐市のInstagramアカウントも覗いてみてください♪(ちゃっかり宣伝)

我々もちゃっかり作らせてもらったMyめのもち。ぎゅうぎゅうバージョンがみちみちでカワイイ!

こちらは義母がつくっためのもち。緑はヨモギ、黄色はクチナシで色付けしたんだとか。淡い色合いのお餅だと雰囲気も変わりますよね!
造り手や地域によって作られた個性豊かなめのもちは、寒さの厳しい1月の景色をぐっと華やかなものにしてくれます。春が待ち遠しくなる、素敵な行事です。

出来上がっためのもちは家庭に持ち帰り、台所や欄間・仏壇やお墓に飾ります。

そう、飾るだけでおしまいじゃないんです。
油であげて「めのもちあられ」にしていただきます、ヒャッフゥ!
しっかり乾いためのもちたちを枝から取り外しまして…

中低温で、お箸でころころとかき混ぜながらじっくりと揚げていきます。

ふくふく可愛らしいかんじになったら、たぶん完成。(初めての作業なので自身なさげ笑)
お砂糖やお塩、きなこなどで味付けしていただきましょう♪
我が家はガラムマサラ塩でいただきました。うむ、これはお酒のつまみになるやつ、おいしい!!
稲を育て、収穫したお米からめのもちをつくり、最後は美味しく頂く。
この素晴らしい風習が、伊佐に住む人たちの手で守られ、続いていることが、とんでもなく凄いことなんですよね。
来年のめのもち作りまでに餅つきレベルを少しでも上げて、次は少しでも戦力になりたいと思うサヲトメでありました。